もともと私たち湘南鎌倉総合病院腎臓病総合医療センターでは、免疫抑制薬を内服している患者様こそ、新型コロナ肺炎ウイルスに対するワクチン接種が必要であるとお話してきましたが、2021年4月3日に正式に日本腎臓学会より通達が来ました1)。
慢性腎臓病(CKD)やステロイドなどの免疫抑制薬を使⽤している患者様はCOVID-19 の病状が重症化しやすい方々と考えられ、「基礎疾患を有する者」として、⾼齢者に次ぐ優先接種の対象となります2)。
COVID-19 ワクチンは⽣ワクチンではないため、免疫抑制薬使⽤中でも接種が可能です。
少なくとも免疫抑制薬使⽤中に副反応が起きやすくなることは考えにくく、COVID-19 に感染した場合の重症化リスクを考慮すると、ワクチン接種が推奨されます。ただし、重症化リスクは患者様ごとに異なりますので、実際にワクチンを接種するかどうかは主治医とご相談下さい。
基本的にはワクチン接種の前後に免疫抑制薬を変更する必要はないと考えます。少なくとも、免疫抑制薬の使⽤により、アナフィラキシーなど重篤な副反応が増えることはないとさ れています。
ワクチン接種をしても完全に感染を抑制できるものではなく、接種後も基本的な感染対策の継続(3密の回避・マスク着用・手洗いなど)は必要です。
腎機能の低下した患者様(特に透析治療や移植治療を受けている方)はひとたび感染すると重症化しやすいことがわかっております。今後も引き続き感染対策を行いながら、しっかりとバランスのとれた栄養をとり、体を動かし筋肉が衰えないように気をつけて、楽しい毎日を送ってください。
湘南鎌倉総合病院 腎臓病総合医療センター
主任部長 日高寿美
【参考文献】
- 腎臓病で免疫抑制療法を受けている患者へのCOVID-19ワクチン接種に関する見解について-医療従事者のみなさまへ-一般社団法人日本腎臓学会|Japanese Society of Nephrology (jsn.or.jp)
- 厚⽣労働省. 新型コロナワクチン接種についてのお知らせ.https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000756894.pdf (2021 年4 ⽉2 ⽇)