血液透析について
腎臓の働きが低下した状態を腎不全といいます。本来の腎臓の働き(体内の毒素を尿中に排泄、体内環境の調整、カリウムなどミネラル成分の調整など)が出来なくなり、自分の体を支えきれなくなると透析が必要になります。
透析には血液透析を腹膜透析があります。どちらの治療方法を選択するかは、患者さんのライフスタイルや社会環境、家庭環境などをもとに決めます。
血液透析を受けることが決定したら、まずシャント手術を行います。これは血液透析のための準備です。その後血液透析が必要な時が来たら透析開始(導入)となります。導入は安全のため、透析の基本を学んでいただくため1~2週間の入院で行います。透析条件など決まりましたら退院し、ご自宅近くの透析施設(病院またはクリニック)で継続(維持透析)します。
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療法選択(血液透析の決定)
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シャント手術
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血液透析開始(入院1~2週間)
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退院後は ご自宅近くで維持透析
FAQ
どうなったら血液透析を開始するのですか
十分に治療を行っても腎臓の機能低下が進行し、糸球体濾過量(eGFR)が15mL/min/1.73m2未満となると透析の開始を考慮します。ただし、症状の現れ方は個人差があります。腎不全の症状(吐き気、食欲不振、嘔吐、むくみ、意識レベルの変化など)が出現したり、日常生活の活動性や栄養状態などの異常の改善が透析以外の治療方法で回避できないときに開始します。
腎不全の症状はどのようなものがありますか
- 水の貯留(むくみ・胸に水が溜まる)
- 酸塩基電解質異常(高カリウム血症、酸の貯留)
- 消化管の症状(吐き気・嘔吐・食欲不振)
- 心臓の症状(呼吸困難・息切れ・心不全・著明な高血圧)
- 神経の症状(意識混濁・けいれん・しびれ)
- 血液の異常(貧血・出血が止まりにくい)
- 目の症状(目がかすむ)
腎不全症状を放置するとどうなりますか
腎臓の働きは生きるために必要です。これが出来なくなった時に血液透析が必要となります。腎不全からの症状を放置して血液透析を行わずにいることは生命の危険を伴います。
シャントとは何ですか
血液透析を行う際には、血液を1分間に200mL~300mLの血液を透析器に流しながら浄化します。十分な血液量を確保するために、手首付近で動脈と静脈をつなぎ合わせる手術を事前に行います。この手術をシャント手術といいます。シャント手術は血液透析を開始するまでに済ませておく必要があります。近年はシャントを含め透析用に血液を出し入れするためのルートをバスキュラーアクセスと呼んでいます。
血液透析はどのように行うのですか
シャントに2カ所透析用の針を刺します。ここに透析回路をつなぎ、ポンプで血液をダイアライザー(透析膜)に循環します。ダイアライザーでは、清浄な透析液との間で物質が移動し、体内にたまった毒素やカリウム、リンなどは体外へ排出し、また重炭酸イオンなど体内に不足しているものは補充されます。
1回の透析時間は4時間、1週間に3回(月水金または火木土)行うのが標準ですが、患者さんの病状により変更することがあります。
血液透析の効果は何ですか
本来腎臓が担っている体内の毒素やミネラル、水分などの除去を血液透析で代用します。また、貧血改善のためのホルモン(エリスロポエチン)やビタミンDなどの注射製剤を透析時に投与も行います。
血液透析で併発症(合併症)はありますか。
- 血液を対外に循環させ、同時に余分な水分の除去を行う治療ですので、血圧が変動することがあります。このため定期的に血圧の測定を行います。
- 血液を固まりにくくする薬剤(抗凝固薬)を使用しますので、眼底出血がある、怪我をした、手術を受ける、抜歯する、などの際には抗凝固薬を変更したり、処置は透析のない日に施行するなどにより対応します。
- まれに血液透析を初めて開始した頃に頭痛などの不均衡症候群を起こすことがありますが、近年ではほとんどこの症状は起こさずに透析を導入出来るようになっています。
- シャントを長年使用していると、血管が細くなり血流が低下することがあります。PTA(バルーンを使用した経皮的血管形成術)などで長持ちさせることができます。それでも閉塞してしまうときには、新たにシャントの再手術を行うことがあります。
- 長期間血液透析を継続していると、心臓・血管疾患、副甲状腺機能亢進症、感染症、アミロイド沈着による手根管症候群、関節痛などが起きることがあります。
血液透析は大変苦しいと聞きましたが本当ですか。
血液透析を受けながら、それ以外はごく普通の日常生活を送っている方がたくさんいらっしゃいます。当院では腎臓以外の心臓や脳・血管などの全身状態をできるたけ安定させながら安全な血液透析を目指しています。
入院は必要ですか
透析を初めて開始する時には1~2週間の入院が必要です。透析を受けるための知識を習得し、安全に快適な透析を受けていただくために必要です。
シャントがない場合にはどうするのですか
急速に腎不全が進行したりしてすぐに血液透析を行う必要があるのにシャント手術が済んでいない場合には、透析用カテーテルを首の静脈に留置して血液透析を行うことができます。
血管が細いなどの理由で動脈と静脈をつなぐことが出来ない場合があります。その場合には、人工血管(グラフト)を使用したシャントや、上腕部分で深部の動脈を皮膚付近に移動して動脈に直接透析用針を刺すことが出来るようにする表在化手術などを行います。
腎臓以外の病気もあるので心配です。
血液透析は定期的な通院が必要ですので、通いやすいご自宅近くの透析施設で受けていただくのが第1です。透析施設とは常に連携していますので、万が一入院が必要な疾患がありましたら当院での入院・加療が出来ます。